私は85歳の男性です。
東京大学大学院総合文化研究所の石浦章一教授が今月六日、ワック文庫から「老いない脳」という著書を出版した。
この中で示されている数々の教訓は、若い人から老人に至るまで、ありとあらゆる人にとって極めて貴重であるとからご紹介したい。
2007年9月の厚生労働省の発表によると、100歳以上の人は32,295人と、初めて3万人を突破したが、このうち女性が27,682人、男性が4,613人である。
この10年間に3.8倍になったが、これからこのテンポはますます速まり、歳とともに100歳以上の人は増えるだろう。
ところで、長寿は喜ばしいが、寝たきり状態で長生きしてもされても社会に大きな負担を強いることになり好ましくない。つまり、社会にとっても、本人や家族にとっても「元気バリバリで長寿を全うすること」こそが、何より重要なことである。それなら、どうしたらそんな人生を送れるのであろうか。
ここで、石浦教授の「脳にも体にも体が効果がある10の生活習慣」が登場してくる
① 週に2~3回以上、1回に30分以上運動すること
運動には、有酸素運動と筋力運動とがある。
前者で手軽なのはウォーキングでもいいが、毎日30分以上続けなければ効果はない。後者は、家庭菜園や農作業があげられる。このような運動を習慣づけていると血流がよくなり、体と脳の若い状態を維持させることにつながる。
② 食生活のバランスに気を付け、食べ過ぎないこと
なかでも野菜などをバランスよく摂ることが大切だという。実験では、食べる量を7割に減らしたネズミは3年の寿命が4年に伸びるという。これからすると、腹七分目にすると、日本人の平均寿命は104歳まで伸びることになる。
③ ストレスをうまく受け流すこと
ストレスは心と体を痛めつけるので、物事にこだわることなく、マイペースで自由気ままに過ごすことが健康で長生きする秘訣であると強調している。
④ 人とのコミュニケーションのある生活をすること
最も大切なのは家族間のコミュニケーションで、次いで親しい友人との会話となる。要は、そうした機会をできる限り多く作ることが大切だという。
⑤ 好奇心を持って新たな仕事に挑戦すること
この世の中には、挑戦すべき課題はいくらでも残されている。そうした中からマスターしたいテーマを見つけ、都市に関係なく挑戦していくファイトと好奇心こそが、いつまでも若さを保たせてくれる源になると力説している。
⑥ 学習の習慣を続けることにより記憶力を保たせるようにすること
人は様々であり、老いても記憶力抜群な人もいれば、記憶力に限界を感じている人もいる。しかし、学習に次ぐ学習によって、その限界を乗り越える努力を続ければ、必ずや目的は達成されると説く。
⑦ 目標を持ち、その目標に向かって挑戦し続けること
大部分の人たちは、定年になると仕事がなくなったと思い込み、家に引きこもったり、何もせずにぶらぶらしがちだが、この世の中にはいくらでも挑戦すべき目標があるので、自分を活かす目標を見つけ出し、それに向かって挑戦することが大事だと強調している。
⑧ 自分自身に報酬を与えるようにすること
目標を定め、それに挑戦し、無事目的を達した場合には、通常なら何らかの報酬が支払われるのだが、自分だけで目標を設定した場合にはそうした報酬は得られない。しかし、こうした場合でも自分で自分自身を褒めることを通じてインパクトを与えることだ大事だという。
⑨本を読む習慣を維持すること
本を読めば脳の言語野が活動するし、脳の各部位も活発に活動する。従って、本を読む習慣を維持し続けることは極めて重要だとしている。
⑩ 意識的に段取りをすること
毎朝起きたら、今日一日何をするのかを決め、その段取りを行うようにすれば脳は休みなく活性化することになり、老化を防ぐことにもつながるのだという。
ここではエキスだけを紹介したが、文庫分ながらぎっしりと人生への対処術が語られている。その内容は、なにも高齢者だけではなく、若い人たちの生活のアドバイスまで懇切丁寧に語られている。
実は高齢者になってからの健康管理も、若い時からの生活習慣の延長上に築かれるものであるだけに、終始一貫した健康管理がことさら大事だとのことである。