パン屋のバイトの裏事情

パン屋

パン屋の店長は過酷な労働

私は現在29歳 女性。
ここでは約10年ほど前に学生時代行っていたパン屋のバイトの裏事情についてお話しよう。
パン屋の店長というのは過酷な労働である。

そもそも私がバイトしていたパン屋は、個人経営ではなく、イオンなどのスーパーによく入っている全国チェーンのパン屋だった。つまり店長も雇われ社員であり、何をいくつ作るなどのノルマも会社から与えられていた。

店長の朝は6時前に出勤して、パンの生地をこねたり、サンドイッチの具を予め作っておく。そしてパートやバイトが8:30ごろに出勤してくるが、そこからもひたすら生地作りや雑務に追われ、夜は大量の洗い物、後片付け、明日の仕込み、レジ締の最終確認などを終えて、20時くらいに帰宅していた。

大体遅番のバイトは20時半までであり、店長が帰ってからもレジ周りの掃除をして帰る事になっていたのだが、それでもバイトに入る時間は長くて昼の12時からであり店長に比べたら半分くらいしか働いてないのに疲れている。いったい店長ってどれだけタフでないとやっていけないんだろうと心配になった。

一応、店長にも週休2日はあったように思える(2日は店長代理の社員が来ていたので)が、シフト制なので急に休めるはずがなく、体調が悪くても働いていた時もあった。

それだけ過酷な労働でも所詮飲食のチェーン。給料はしれているだろう(もちろん明細は見たことないが)

しかも店長には子供が4人いたので養えるかどうかよそ様の家庭ながら不安に思っていた。

ここで思ったのは、飲食チェーンの業界には就職したくないな、という事だ。

パンを焼くはJK&JD

ここで私のパン屋の驚きポイントを1つ紹介しよう。
見出し通り、パンを焼いているのがJK(女子高生)だったりJD(女子大生)だったりするのである!!

オープン当初は店長が生地つくりをして、別の社員がパンを焼く作業をしていた。
が、人手不足や人員削減(1店舗社員1人など)のしわ寄せがきてしまったため、焼く作業をパートやバイトに任せざるを得なくなったのだ。
(店長は生地つくりとその他雑務に追われ、余裕がない)

それが決まってからはパートさんは全員、焼きを教育されていた。(それが嫌でやめる人もいたようだ)

そしてパートさんが帰ってからや、土日のシフトを埋めるべく、ついにバイトにも焼きが回ってきてしまったのだ。男子学生バイトは強制だった。けれどそれだけではシフトが回らないので、女子にも回ってきた。女子は、ある程度経験があり、器用で仕事の早い子を店長が選定して声をかけていた。

ただ、焼きをやらされていたバイト仲間によると「声がかかる」=「やれ」のような半ば強制的であったようだ。(店長は気分屋だったので、仕事ができていう事をきく子には優しいが、そうじゃないと当たりがきついというのはみんな分かっていた)

(私は、というと、どんくさくてデキない子と思われていたが、オープン当初からのメンバーであったことと、土日フルでシフトに入れる事で重宝され、店長からは割と気に入られていた)

やはり焼きをやるとなると、業務用の大きいオーブンを使うので少なからず火傷もあるようで、なかなか過酷な労働のようだった。

これはパートやバイトにやらせていい仕事ではないなと思いつつ、自分はどんくさい認定されててよかった、と心から思ったものだ。

サンドイッチ作りの裏側

パン屋さんの重要な仕事の一つにサンドイッチ作りがある。ここで想像していただくサンドイッチ作りは、皆さんがご家庭で作るものを大量生産している、と考えていただいて良い。

サンドイッチ

しかし、ドックパン数種類(計50個くらい)とバーガー数種類(計50個くらい)とサンドイッチ数種類(計20パックくらい)を3時間くらいで作り上げなければならず、時間通りに終わるにはかなりの速度が必要となる。

パンに切り込みを入れる所から始まり、具をはさみ、綺麗にサンドイッチを切る、そして12時くらいまでにできなければお昼に買ってもらえないし、かといって見た目が綺麗でなければ売り物にならない。

そんなスピードと技術が勝負のサンドイッチ作りをマスターできなかったダメバイトの私は、店長から見放され、主にレジ担当と、ちょっとした飾りつけ(仕上げ)をしてパンを並べる役目のみとなった。

サンドイッチ作りは大変なのだという事を買い手の皆さんにもわかってほしい。

まぁそれはさておき、
サンドイッチ作りにおいて一番驚いた事は「野菜を食器洗剤で洗浄し、塩素消毒を行う」事である。

それまで野菜は水で洗うのが常識だったが、この業界ではそれがチェーン店としてマニュアル化(塩素の濃度など)されているのである!

これを知って一時期売り物のサンドイッチを食べる気を無くしたが、いつのまにか平気になり(慣れ?)普通に食べるようになった。

イートインコーナー常連客の話

うちのパン屋にはイートインコーナーがあり、コーヒーなども1杯400円程度でお出ししていた。正直、勝手にパンを食べていってくれるのは全く構わないのだが、コーヒーをパンとセットでお盆と皿にのせてお持ちする、というサービスは通常業務の妨げでしかなかった。

(通常、昼や夕方のラッシュ時以外は基本レジは一人でやるので、コーヒーなどの注文が入ると、中で時間に追われて作業している人(サンドイッチの人など)にレジ応援を頼まなければならないのが心苦しかった。また、夏はかき氷を200円で提供していたので、それもまた面倒だった。

そのイートインコーナーにほぼ毎日くるおばちゃん2人組がいた。
別に悪い人ではないのだが、毎日毎日よくもまあパンとコーヒー片手にスーパーのイートインコーナーでしゃべりまくってもっと他にすることないのかね・・・とよく思ったものだ。

しかも自分たちは常連だ、と自覚しているらしく、頼み方も「いつものね」とか、夏はちょっと気取った言い方で「冷コ、2つね」と言っていた。(おばあちゃんがアイスコーヒーの事を冷コと呼んでいたので、意味は分かったが、ちょっと内心笑ってしまった。今時、冷コって・・・・)

毎日パン屋のパン1つ(平均額150円~200円)+400円のコーヒー(一応ホットはコーヒーメーカで作っていたしアイスもまあまあ美味しいが)をスーパーのイートインで食べるくらいなら、もっと良いカフェ行けるし、コーヒーもスーパーの缶コーヒーと大して変わらなくね?と内心思いながらも、売り上げに貢献してくれる大事なお客様であった。

試食おばさん

うちのパン屋の醍醐味と言えば、スーパー店内に響くマイクを使っての試食タイムである。

主にお昼時と夕方に多く、その時の新商品や売れ残っているパン、食べるには問題ないけど見た目はアレなパンなどをチョイスして、売り場に台を準備してその場で一口サイズに切って、お客さんに提供していく。

子供などは目を光らせて、恥ずかしそうに一つとっていく子もいれば、同じパンを何回も取る子もいて、「親はどこほっつき歩いとるんじゃい」と思いながらも、子供だから多めにみてあげて、3回やるようなら、やんわりと「試食は1回につき1つね~」と声をかけるようにしていた。

ところが、週に数回、50歳台くらいの狐のような顔をした「試食おばさん」が出没するのである。

お昼時か夕方のラッシュ時に他のお客さんに紛れて、1回目一通りの種類を試食したかと思いきや、買い物の続きをするフリをして、パン屋から少し離れ店内を歩き、数分してまた紛れて舞い戻ってきて・・・というのを3回くらい繰り返すのである。

しかも手が早いというのか、1回の試食でほおばる量が多く、その人が1周すると、かなり減るという事態に。

本人はバレてないつもりかもしれないが、パン屋のスタッフ全員に顔バレしているので、試食おばさんが来た時は、一旦試食を引き上げる、という作戦を実行していた。すると本人はここのパン屋は試食をやらなくなったと思ったのか、あまり見かけなくなった。

はしたない大人にはなりたくないものだ。

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『パン屋のバイトの裏事情』へのコメント

  1. 名前:匿名 投稿日:2023/05/31(水) 14:54:08 ID:720f8fb8a 返信

    やば