デザイン業務に対する本音

ギャラの見積もりが甘い

たまにギャラに関して甘いクライアントがいる。

ロゴ制作の場合、すぐに制作が始められる訳がないので、普通に考えて、下準備があり、コンセプトをしっかり読み込んでいるのでその時間でかなりの時間がかかり、その後にたくさんの案を出し、次にはその中から絞りブラッシュアップするのである。

この時間から更に修正するのだ。

この行程を聴いてもなお、時給で換算しようとするクライアントがいるのだ。この行程をこなせば誰もが、いいものを作れるわけではない、という事はこの業務自体がクリエイティブサービスなのである。

にもかかわらず、時給1000円ほどに換算するのがそもそもおかしいのである。この様にどんどんとデザインにお金をかけない様な方が増えてきている。

これは他の業者でもあるのでは無いだろうか?

労働の対価ではなく、技術にしっかりとお金を払うという、認識をクライアントが認識する日は来るのだろうか。そんな日が来るのを願うばかりである。

修正に関する、あいまいな表現

ポスター デザイン

デザインの修正の際に、クライアントに言われた通りなおした際に、よくならない事がほとんどである。それはそうである。あちらは全くの素人である。

こちらがデザインをするときにトータルのバランスを見て考えるのである。それに対しこの文字の色を変えて欲しいと言われ直すとどうなるのかというと、全体のバランスが崩れるのである。

これはロゴの場合でも全く同じである。例えばモチーフロゴを入れてアルファベットの頭文字を入れる場合どちらかの要素をとるとすると、片方の要素がだんだん薄れていくのが基本である。

しかし、これをわからないクライアントがかなり多い。いちいちやってみせるこっちの身になって欲しいものだ。

こちらはそれを全てやった上で見せているのにもかかわらず、それをなぜ信用しないのか全くもって全然理解ができない。要はこちら側を舐めている心が少なからずあるのである。こちらは専門家なのであることを全然わかっていない。

アートディレクターという職業

アートディレクターという職業はアートをディレクションするというと意味である。その職業に仕事を頼んでくるというのはどういう事か理解しているのだろうか?

実際その事を全くもって理解していないクライアントがいる。監督してもらうという事はアートに関する事柄を委任するという事。つまり、こちらの認識に全面的に託すということなのである。

なので、こちらが出した判断を却下するのであれば、なぜ依頼してきたのだろうと思ってしまう。もちろん相当的外れなアイディアや目的にそぐわないものであれば、仕方ないとは思うが実際のその様な事を言っているのではない。

アイディアに対して言うのはまだマシだが、なぜ表現のところで文句を言うのであろうが、クライアントは素人であり、自分でできないのである。だからアートディレクションを頼んできているのではないのだろうか。そんなクライアントは自分でやればいいのである。お客さんだからというのは関係ない。

表現に対する幅広さでの困惑

「かわいい」と言う言葉がある。

この表現の厄介さは計り知れない、それはなぜかというと、幅が広すぎるからである。可愛いのはフォルムだろうか、色のことだろうか、全くもってわからない。

普通に考えていればわかるだろう。「シンプルでかわいい」というのもあれば「カラフルでわんぱくなのが可愛い」という人もいる。

このことを踏まえて入れば、相当なもの分かりの悪い人でなければ「可愛い感じでお願いします」などと言ってくるクライアントは居ないだろう。

実際この問題は根深い。

なぜならかっこいいや強そう、また効きそうなどとも同じだからである。ベンチャー系のデザインと大企業のデザインのかっこいいは全くと言っていいほど違う。

広告戦略も同じで、フォントもすごく細かくあるので選択はすごく緻密におこなうので、こう言ったあいまいなでざっくりな態度はこまるのである。

しかしやはり素人なのでいちいち言わなければならない。これは下準備や勉強不足に他ならないのである。

シンプルなデザインに対する反応

よくデザインをする際、「洗練された印象で」や、「シンプルで」という言葉でオーダーされる事がある。その際にかなり削ぎ落としたシンプルなデザインを出すときに、大抵は何もやってないと思われる。

あちらのいうシンプルや洗練は数値でいうところの2くらいであるのに対しこちらの印象は1くらいである。

この現象が本当に大変である。

しかもシンプルに作ったものを見て、何もしていないと思っているのである。余白がとても多い時の大変さを全くと言っていいほどわかっていないのだ。

文字の大きさもコントロールが大変であり、また文字の間も一文字一文字調整して出来る限り垢抜けた感じに見えるように数多くの余白の使い方を試作してようやく、洗練された印象やシンプルというデザインが完成するのである。

その苦労がわかっていないのだ。

神経を使って頭をフル回転させ、やっとのことで整ったバランスを使っているのである。それを何もしていないと一蹴される苦しみは同業者にしかわかるまい。

「本音の窓」管理人からのコメント

デザインというのは人の感性に頼るところが大きいので、それを言語化して表現するのは素人であるクライアントにとっては難しいことなんですよね。

なので、素人のあいまいな表現をくみ取ってあげて、コミュニケーションをとりながら作り上げていくというのがアートディレクターのイメージでした。

素人の「何も考えていないような発言」をいかに咀嚼してお互いの合意点を見つけ出すのか、そこがプロの腕の見せ所なのだろうと思いました。

どんな職業でも不満や愚痴はあるでしょうが、そういったストレスをどうやって作品やサービスに反映させられるか、そこが「仕事の面白さ」でもあるように思います。

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