店員もお客さんも余裕が無い
私は今年23歳になる女で、つい先日までスーパーでレジのアルバイトをしていた。
ただのスーパーではなく生鮮食品や日用品はもちろん、大工道具や園芸用品、キャンプ用品、ペット用品の他インテリア用品等にわたって幅広く商品を扱っているホームセンターである。
全体的に安売りしていることが多い、毎日お客さんが絶えない地元の大きなスーパーだ。
しかし安売りしている店というのは他の店と客層が根本的に異なり、余裕の無いお客さんが非常に多いと感じる。とにかく「待てないお客さん」が多いのだ。そのため店内はいつも殺伐としていてせわしない。
店内の敷地(駐輪場)に入るや否やお客さん同士で喧嘩するという事は珍しい話では無かった。またレジで並んでいる時点で既にイライラしているお客さんが多く、レジは早急に業務をこなさねばならなかったが、それでいてミスをすると大きなクレームになりかねないため早さと正確さを求められる仕事だった。
その窮屈な環境に私は正直辟易していた。些細なことでクレームをつけているお客さんを見ると家族とうまくいってないんだろうなあなどと考えて怒りを落ち着かせていた。
盗まれるのは商品だけではない
当たり前だが、いつも安売りしている店にはお金に余裕があって品の良いお客さんはそうそう来ない。
私が働いていて特に「民度が低いなあ」と思ったのは、「新品の布巾をサッカー台(荷物をまとめる台)に置くとお客さんに持っていかれるから、新品はレジ台に、それ以外のものをサッカー台に置いてね」と職場の先輩に言われたときだった。それを聞いたときはスーパーの雑菌が多そうな布巾を盗むなんて、耳を疑った。
またそれだけでなく、店の買い物カゴまでそのまま持って帰ってしまうお客さんもいるらしい。トイレットペーパーやビニールを持って帰ってしまうというのは聞いた事があったが、なぜカゴなんて大きなものを平気で盗んでいくことができるのかと、信じられなかった。
またレジ袋を使わないと2円引きされるサービスがあるのだが、中でも多いのはちゃんと値引きされているかどうかをもの凄く気にするお客さんだ。毎回のことなのだがたった2円で…と密かに思っていた。
そして夜7時過ぎに来店し、半額総菜だけ大量に購入するお客さんは、会計が終わった後にサッカー台で半額漏れが無いかとレシートをチェックしている。そういう姿を見ると、失礼だとは思うが貧乏くさいなあ、卑しいなあ、というイメージが拭えなかった。
このアルバイトを始めてからご老人が苦手になった
アルバイトを始める前はそうでもなかったのだが、レジ業務を始めてからご老人の相手をするのが嫌だと思うようになってしまった。
私の働いていたスーパーではある配送サービスを行っている。店で買ったものならどんなに量が多くても200円で配送する、というものだ。このサービスの所為で客層の6割程はご老人が占めているように思う。
暇なのか朝、昼、晩と一日何度も来店するお婆さん。
迷子でもない子を勝手にレジに連れてきて「この子迷子です」というのが趣味のお婆さん。
絶対に声を出さないお爺さんなど様々なタイプがいるのだが、中でも私が相手をしたくないのが、自分の弱さを盾に過剰にサービスしてもらおうとするご老人だ。
足腰が悪いから全部荷物を運んでくれ、歩けないから米を持ってレジに並んで支払ってきてくれ等々、さっきまでキビキビ動いていたくせに何でもかんでもやってもらおうとするご老人が多い。これらを高圧的な態度で言われるのも腹が立つが、しおらしく言われるのも腹が立つのだ。
本当に身体が悪いのなら手伝うことをいとわないが、明らかに(独りで家から歩いてきているのに)歩けない等と弱い振りをして嘘をつかれることに嫌悪感が募る。こうすれば何でもやってもらえると思われていることが嫌で、ご老人の相手は極力したくなくなってしまった。
ペットを飼っているお客さんは癖が強い
このスーパーでは食品を扱うフロアとは別に、大工用具やペット用品、キャンプ用品を扱うフロアがあった。またペット用品だけでなくペット自体の販売も行っていたので、このフロアだけはペットの入店が許可されていたが、そのためにはペット用のカートを使わねばならなかった。
普通のお客さんも多いのだが、ペット用品を買いに来るお客さんというのは癖があるメージが強い。
連れてきたペットを平気でレジ台の上に乗せられたときは驚いたものだ。ペット専用フロアならまだしも他の商品も扱っているフロアで、ペット用品目的じゃないお客さんもたくさん来るレジなのに、そういう人間のことを一切考えていないことが信じられなかった。
むしろ何か不自然なことがあるのかと考えていそうなくらいだ。ペットを飼っていない店員からしたら、正直汚いとしか思えなかった。
カートに敷いたペットシーツにペットがお漏らししてしまったときも、尿でびしょびしょのシーツを「はい」とレジで渡されて「うわっ」と思ったことがある。大きなゴミ箱が各所に設置されているのに何故自分で始末しないのだろう…と思いながらアルコールで何度も手を消毒した。
店員しか知らないこと、お得だったこと
質が悪いのはお客さんだけでなく、店も同様である。大きなネズミがはびこっていたこともあったし、傷みで返品・交換した野菜や果物は、たいした傷みでなければ売り場に戻していた。
また万引き防止の防犯タグも、実際は何も反応しないジャンク品を使用していたこともあった。
しかし社員ならまだしもアルバイトにとっては万引きも衛生面もどうでも良いことだった。だから質の悪い店には質の悪いお客さんが集まるのだと、何度も実感してきた。
嫌なことばかりだが、お得なこともある。
総菜や青果の商品が多く残った日は75%引きで買えたり、タダでもらえたりしたので、生活費が浮いてとても助かっていた。また少し古いお米は1,000円で買えたり、箱の潰れたティッシュや取っ手の取れたトイレットペーパー等の処分品を100円で買えたこともある。
十分に使えるので、処分してしまうには本当にもったいない。私も生活レベルとしてはここのお客さんと何ら変わらないなあと思う。このように商品を格安で手に入れることができるのは、従業員ならではの特典だった。
しかしこのような特典があっても働く上で受ける苦痛の方がはるかに大きいので、やめていく従業員が後を絶たない。私もそのうちの一人だ。まだ、しばらく接客業はできそうにない。
管理人からのコメント
ホームセンターというのは本当に民度の低い客が多いですね。
他のライターさんも同じような不満を漏らしていました。