食品業界の裏側と現実
現在30代、すでにこの会社からは転職をしているのですが、生もの系食品の卸の仕事についていた頃、かなり理不尽な目に色々あいました。
その会社からはもう離れてしまったので、当時は口を噤んでいた裏話をここでこっそり打ちあけてしまいます。(離れてしまっただけでなく、久しぶりにその会社の前を通りがかったら、すでに存在がなく、引っ越したのかなとインターネットで調べてみたら、存在そのものがなくなっていたので、どうやら倒産したようです)
そこで一つ得た経験は『食品業界はきちんとした、上場企業でもない限りかなりブラックであることが多い』と同時に、本来客である相手も『自分たちのブラックぶりに周囲も合わせて当然』というような、やりとりが普通に行われておりました。
まずはそのブラックぶりなのですが…基本、休みはあるけれどないようなものという事実を一番に上げたく思います。規定上のお休みというのはあっても、事実はないというのが現実でした。
休みがないとはどういう意味?
食品業界は、取引先が外食産業であれば、一般的企業で「お休み期間」とされる時期が、逆にかきいれ時となります。夏休みやお盆、クリスマスや正月など、通常の土日休みの企業であれば、ゆっくりできる期間でしょうが、外食産業ではむしろ年に何回かある、多忙な時期に該当します。
サービス業会全体がそうなのですが、その多忙な時期を頑張ったからといって、代休などはまずありません。というより、規定そのものでお休みが「日曜と隔週で平日1日のみ」なんて会社も、現在でも存在しています。
この記述の場合、祝日なども当然出社という扱いですので、お盆休みやゴールデンウィークの連日出勤も、特別ボーナスや代休などは当然つきません。それだけならばいいのですが、当然のように取引先の手伝いも無償で求められる…これが卸業界では、珍しいものではなかったのが、怖いですね。
ある家電量販店が、仕入れる代わりにと取引際の営業社員を無償で働かせていたニュース、ご存知ですか?
休日に無償でお手伝い
以前ニュースで、違法とされて指摘された企業が起こしたのは、こんな事態でした。
「仕入れてあげるのだから、休みの日の在庫チェックに、御社から数名うちの仕事を手伝いに来てください」と言って、無償で手伝いを寄越させるというやり方です。
この手伝いの名目は、「改装」だったり「新規オープン手伝い」だったり、「棚卸」などの名目がありますが、どれも朝就業時刻前から呼び出され、一日中仕事をそのお店でさせられるのに、お金は一銭も出さず、食事代も出さない。
断ればその店からの卸仕入れをやめるといって、なかば脅すような方法です。これは違法じゃないの?と思われるかもしれませんが、当然それは違法です。
独占禁止法違反で、大手量販店や家電販売店が、こちらで取締りの対象のニュースになっていますが、食品業界ではまだまだこれが、当たり前のように続いています。自分たちの会社だけでなく、大本の「卸に卸しているメーカー」側も借り出されていることがあります。
どんなお客様の横暴があった?
これまでに述べましたとおり、客側もこちら側も、色んな名目でただ働きが一部当たり前のようになっていますので、無理なオーダーを通してくる人も、少なくありません。
普段であれば2日前に注文をもらって、用意をしておき配送なのですが、その日の夕方になって、いきなり「今日使う分が不足したから、今から持ってきて」など言ってくる人も、普通に存在していました。
しかもその不足分をもっていくのは、車で1時間以上の距離で、持ってきて欲しいというのはせいぜい1000円もしないような、合計金額。人件費や配送代、実費にガソリン代を考えたら、赤字にしかならないのですが…。応じてしまう悪習が、浸透していました。
どう考えても理不尽なのですが、緊急用連絡先として控えられるのは、個人の携帯番号で、その携帯も会社負担ではなく自費負担です。その自費負担の携帯に、お正月から「不足したから持ってきて!」というような電話が平気でかかってきたりしていました。
賞味期限問題の実態も…
卸の会社ではあるのですが、一部常に在庫しているわけではない商品も存在していました。
そういった商品は、利用側がいつ緊急で利用するのかわからないという理由で、箱買いをして在庫として倉庫で預かったりもしていたのですが…賞味期限切れになっても、引取りに来ないことも多々ありました。
念のため、こちらから連絡をすると(賞味期限が切れているにも関わらず)処分をしてではなく、次急ぎで使う時用に保管しておいてと言われ、そのままになっていました。
まあ食紅みたいなものは、多少賞味期限が過ぎたからといって害はないのかもしれませんが…。その取引先が、近所のお店であっただけに、私としては「そのお店でものを買うのはやめよう」と、強く思うようになりました。
怖いことにそのお店、色々地元の産業を活気づけていると、それなりにマスコミやら地元のペーパーなどに取り上げられているのですが、私としては内情をばらさず、でもあまりおすすめできないなあと、知人たちに言うのが精一杯。
食品業界は、裏を知らないほうがいいのかもしれない、そんな風に今では思います。