道の駅の裏側 ※ 雰囲気や宣伝で美味しいと感じるお客さんたち

道の駅のブームなんてあったのか?

私は関西の田舎の方にある「道の駅」で
アルバイトをしていたことがある。
道の駅ブームだの地元の新鮮野菜だの
いろいろ売り文句が存在したが
私はその裏側を知っている。

道の駅で販売されているとれたて野菜

正確な数は知らないが
道の駅は今や1000以上もあるという
話しも聞いたことがある。

そんなに多くの道の駅があるので
当然ながらブームに乗っかれていない道の駅がほとんどである。
賑わっている道の駅といのはごく一部である。

事実として私がアルバイトをしていた道の駅でも
お客さんはほとんどいなかった。
近くに山や公園、観光地などがあるので
駐車場に車は停まっているのだが
ほとんどのお客さんは車を置いてどこかへ行ってしまう。
あげくの果てには、近所を散策して駐車場に戻ってくる前に
コンビニで買い物を済ませる人もいるくらいだ。

私がアルバイトをしていた道の駅だけが
たまたまお客さんの少ない場所なのかと思っていたら
同じ県内にある道の駅も同じような環境だそうだった。
たまにお客さんがいくらか入っているように見えても
とてもではないが普通なら維持できるようなお客さんの数ではなかった。

道の駅のアルバイト(売店)

道の駅といえば
地元農家の販売所であったり、
パートやアルバイトなどで雇用を作ったり、
地元業者に仕事を頼んだりと
それなりに立派な名目はある。
しかし、中からその様子を見ていた私は
非常に多くの仕事に対する怠慢を目の当たりにした。

道の駅には若いアルバイトは少ない。
私は田舎の方にある道の駅でアルバイトで入ったので
そのときの若手は私だけであった。
なので、ことあるごとに若いから何でもすぐ覚えるだろうと
あちこちの仕事をさせられた。

まずは表にある売店のスタッフから。
これは面接のときからこの仕事をしてもらいたいと
言われていたので問題はない。
問題があるとすると平日がヒマすぎることである。

ザックリと朝から昼までと
昼から夕方までのシフトで分けられていた。
私は昼から入ることが多かったのだが
一日で私が接客するお客さんは2,3人ほどだった。
売っているものがソフトクリームと炊いたコンニャク。
道の駅でよく見かける定番のアレである。
これでは誰も買わない…。

パートのおばちゃんが全然掃除をしないので
私はバイトの時間のほとんどを掃除で過ごしていた。
飲食店でのアルバイトの経験がある私からすれば
まだまだ掃除が行き届いていないのに
よく働くと褒められていた。

売店とはいえ、食べ物を取り扱うのに
その意識で大丈夫なのだろうか?
私は今でも道の駅で食事はしない…。

道の駅のアルバイト(販売コーナー)

若いから何でもすぐに覚えるだろうという
理解不明な理由で野菜などの販売スペースの手伝いもさせられていた。

朝から地元の農家たちが野菜を納品しにやってくる。
ここでは衝撃の一言を今でも鮮明に覚えている。
納品に来た農家の野菜を見て私は
「今日は数が少なめですね。」と言うと
「良いやつは出荷するから。」と言われた。
私はそのときには意味がよくわからなかった。

後々にわかったことだが
良い野菜は別の場所に納品する。
そこでは良い野菜だと単価が上がる。
単価が上がりにくいそこそこな野菜を
「収穫したての新鮮野菜」として道の駅に納品する。

たしかに収穫したてで新鮮な野菜であることには間違いない。
しかし、それが美味しくて良い野菜かどうかはまた別問題である。
ウソは言っていないので商売の仕方としては正解なのかもしれない。
料理人が朝早くから市場で仕入れをしている姿は想像できるが
道の駅で仕入れをしている姿が想像できないのは
これらのことが原因なのかもしれない。

道の駅のアルバイト(食堂)

若いから何でもすぐに覚えるだろうという
理解不明な理由で食堂スペースの手伝いもさせられていた。

食堂のメニューは焼きそばやうどん、
親子丼やカレーなどの定番メニューが中心だった。
使うのはもちろん農家が納品した野菜たちである。

使う野菜が段ボールに無造作に詰込まれていた。
私はその中から綺麗で使えそうな物を
選んで使うのかと思っていたら
パートのおばちゃんは何も考えずに
上から順番に取っていった。

もう道の駅の裏側を
さんざん見てきた私はもう驚かない。
しかし、次の瞬間には少し驚いた。
うどん出汁が見覚えのあるパッケージの商品。
私もさすがにここから隠し味があるだろうと思ったら
完成してしまったようだった。

いくらなんでもこれでは
家で食べるうどんと何も違わない。
しかも、うどんに限らず他のメニューも
同じような方法で作る…。
問題なのはこれらのメニューを
郷土料理食堂的なワードを掲げてやっていることだ。
地元の野菜を使えば郷土料理と言っても良いのだろうか?

本当に言いたいことは

ここまで、道の駅の裏側を書いてきたが
私は道の駅に対して悪口を言いたいわけではない。

たまたま私がアルバイトをしたことのある道の駅が
このような環境だっただけであって
本当に食材や料理、農家やお客さんに対して
真剣な道の駅もたくさんあることはわかっている。

しかし、私が見たものも事実。
そして、そんな野菜を見て「新鮮で良い野菜だ。」
業務用の出汁で炊いたコンニャクを「ここのコンニャクは美味しい。」
うどんを食べて「さすが道の駅のうどんだ。」などと
言っているお客さんが本当にたくさんいた。

もしも、私のようにこの状況を見ても
同じことを言えるのだろうか?
道の駅に限らず、情報や先入観で
商品の善し悪しを判断しているお客さんが
いることも事実としてある。
結局は雰囲気や宣伝文句などに踊らされているのである。

これからも私たちが消費者であることは変わらない。
なので、しっかりと自分の目と先入観のない情報で
知識を蓄え、正しいことを見極めるべきなのかもしれない。

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