会社に対するそれぞれの思い
私は42歳、会社員の男性である。私の会社は事実上倒産に近いかもしれない。
その理由は業績がここ数年まったく伸びておらず、そのためボーナスだけでなく給与も激減しているからだ。
家族を養っている社員からするととても不安でしょうがないと思う。実際、転職して会社を辞めていく人は後をたたない。誰しもこの会社に見切りをつけて辞めたい気持ちがあるのだと思う。
しかし、辞めることのできない人間も多い。その理由はなかなか転職先が見つからないことと、転職できても引越を伴う可能性が高いからだ。そのため、家族や家のことを考えると転職に踏み切れない社員が残っているのである。
そして転職して辞めていく人の仕事を残ったメンバーで補填していく必要があり、負担は増大していくばかりなのだ。
会社としてもその状況は分かっており、何も手を打つことなく日々が過ぎていっている。会社における社員の意識は徐々に壊れていっており、社員はどう考えればよいのか戸惑っている状態となっている。
私と同僚の仕事量について
私自身、仕事の引き継げを受けるばかりで自分の仕事プラス2人分の仕事を今こなしている。正直体も心も追いつかない状態で仕事を継続している。
仕事への取り組み内容は業績に関係なく減ることはない。減ることはない仕事をひたすらこなしていくばかりで機械のように働いている。
家族を養うと言うことはこういうことなんだと自分に言い聞かせて毎日を何とか過ごしている。
私の同僚は日々の疲れから、ここ1ヶ月休みを取っている。もしかしたら転職先を探しているのかもしれないが、それでもしょうがないと思う。
彼はこれまで仕事を部署内で一番こなしてきたホープだった。しかし、そのホープも日々の仕事量が多くなり、心身共に壊れてしまった状態となった。そのため現在体調を壊し休息している状態だ。
一度彼と電話で話をしたが、かなりまいっているような感じでとても元気出せとはいえない雰囲気だった。そのため、彼の分も現在私は仕事として引き受けてこなしている。
転職をしようと思ったきっかけについて
ボーナスの少し前に臨時のミーティングが開催された。そのミーティングの内容は経営概況に対する内容であり、さらに悪化していると言う内容であった。
その業績不振の理由や今後のロードマップなど詳細な説明があり、結果ボーナスをさらに半減するとの内容であった。ますますこの会社はやばいと誰しも思った。
会社がやばい、泥舟の可能性が出てきたと感じて、すぐさま脱出を図らなければこのまま一緒に沈んでしまうと思った。
私は転職を真剣に考えようと決意した。そして自分なりに転職先を探し出した。
私はこれまで転職の経験がなく、そのため転職をする上での自分なりの特徴をまとめることとした。私にはこれといった特徴やスキルはない。しかし、自分なりに資料作成やプレゼンは得意であると考えており、その部分を活かせる転職先を探すこととした。
転職に向けて動くに当たり自分なりに考えたこと
私は転職するにあたり、現在の仕事を誰に引き継ぐべきかも同時に考えていた。
誰に引き継ぐにしても申し訳ない気持ちでいっぱいになる。他のみんなも私同様たくさんの仕事を抱えており、簡単には引き継げる状態ではない。
だからといって仕事量を減らすこともできない状態である。そのため安易に引き継ぐことはできないことから小分けにして引き継ぐプランを考えるようにした。
そしてそれとなく他の方が転職を考えているのかどうかも情報収集することにした。
その理由は仕事量がこれ以上増えるとなれば、誰ももうこなすことができないため、そのことを会社の上の方にも理解してもらわないといけない。
そしてそこまで悪化していることを会社の上の人は知っていると思う。しかし、それに対してまったく何もしない状態が続いているのである。
会社は景気がいいときは社員にとても優しく接してくれる。しかし、状況が悪化すると完全に社員を無下に扱う。
社員は当初は愛社精神で何とか会社を良くしようと試みる。全員で目標に向けて頑張るのだが、それも長続きはしないのが実情。
そして会社の業績に左右されてしょうがなく会社を去る人と、会社に残る人の二つに分かれる。会社はそれでも業務量を減らすことなく突き進もうとする。
悪くなるばかりの会社の状況について
さらに状況は悪化し、その結果、品質の悪い商品が市場に出回る。そして、その商品の回収のためにさらに人手を取られてしまうのである。
この状況が続くと完全に組織が壊れていく。組織が壊れていくのはとても早い。その組織を改善するのには時間がかかり人手も必要となる。
しかし、今のこの会社にはそのような余裕はない。人手が不足しており、社員は疲弊しきっている。そして会社から生まれた商品は市場で不良となって会社に戻ってくる状況だ。
会社でみんなが頑張って作り上げた商品が不良となって返ってくる、回収しに行くことはとても不憫であり、社員にとっては悔しいことだ。
それでも会社を存続させるためにはしょうがない仕事である。そしてまた多くの社員が会社を去っていくのである。
若い社員がいなくなることが会社にとって一番の痛手である。会社の上の人はその辺をどのように考えているのかが見えない。
本当にこの会社はまもなくなくなると思う。