医師だけの困った忘年会
県内のお医者様がたくさん集まられて忘年会が行われた。100名前後であった。
開始時間を守られずに来られるお客様が大変多かった。きっと仕事が忙しかったのだろう。
しかし、開始時刻は予定より30分ほど早かった。
役職が上の医師たちが集まったからだ。
そんな偉大な先生方を下っぱの医師が遅れているという理由で待たせるわけにはいかなかったのだ。
それでも会場の使用時間は決められていた。
開始予定30分前に宴会を始められては食事も飲み物もお客様の要望通り提供するのは無理だ。
乾杯のドリンクはビールかウーロン茶のみで、持ち回りをする決まりである。
それなのに1人の若い男性医師が、お酒が並ぶバーカウンターで15人分くらいの飲み物を1人のスタッフにすぐ出すように文句を言ってきたのだ。
お席まで乾杯用のお飲み物をお持ちしますと言っても聞かない。
「〇〇先生は日本酒しか飲まない」「〇〇先生はワインが好きなんだ」とビールやウーロン茶はいらないというのである。
しかし、1人のスタッフが対応できるはずもなくお待たせすることになった。
今まで数々の宴席にスタッフとして参加してきたが、こんな困った忘年会は初めて。
きっちりした仕事をしている人はプライベートが酷いとはこのことかと思ったが、これはまだまだ序章に過ぎなかった。
医者たちの上下関係は異常
その男性はドリンクがすぐ出てこないことにイライラして暴言を吐いた。
1人のスタッフでは対応できなかったため、3人のスタッフを追加して対応にあたったが、日本酒を温めたり、ワインのコルクを抜きワイングラスを用意してお席まで注ぎに行くなどをする必要があり、できる限りのスピードで対応したがスムーズな対応とはとても言えなかった。
ドリンクはまだこれでよかったのだが、料理提供も同じように困らされることとなった。
また下っぱであろう男性にいますぐ料理を出せと言われる。また「〇〇先生が料理はまだか」と言っているというのだ。
料理を作るシェフは冷たいものは冷たいうちに、温かいものは温かいうちに提供できるように定刻を守っているため、今すぐ料理を出して欲しい、早くしてほしいと言われてもコース料理で大人数の料理を作るのだから無理である。
それを伝えるとなんやかんやと文句を言われた。
たしかに要望に応えられないこちら側も悪いところがあるかもしれないが、今までこんな要望を言われて困った経験は数々の宴席に参加してきたが1度もなかった。
上下関係があるのは分かるが異常である。
この後も上下関係による下っ端男性たちの行動は想像を超えてきたのだ。
医師たちのビンゴ大会
やっとドリンクも料理も提供が進み、スタッフたちが安心していた頃に恐ろしいビンゴ大会が始まった。
景品は大型テレビや最新暖房器具、加湿器などの高級家電に始まり、数々の商品が並んだ。
もちろん1番にビンゴした者が良い景品が当たるのだ。
スタッフは頼まれてビンゴ用の抽選機から抽選された番号を読み上げる。
進むにつれてカードに印がされていく。
すると1人の男性が番号を読み上げているスタッフに次はこの番号にしろと言ってきたのだ。
その理由は〇〇先生がその番号が開いたらリーチになるからということだった。
また違う男性が同じ内容で次はこの番号にしろとスタッフに言ったのだ。
下っ端医師たちは自分より上の偉い医師たちにビンゴさせるために必死なのである。
自分のカードに読み上げられた数字があっても印をしない人もいた。
そこまでして大変なビンゴ大会をする必要がどこにあるのかと思う。
医師たちには異常なまでの上下関係があることは、この宴席に参加するまで知らなかった。
また、クロークに立ってコートを預かったがお偉い先生と呼ばれる医師以外のコートはほぼユニクロだったのだ。
これも上下関係のせいなのかと思った。職業によって上下関係も様々であろうが、こんなにも上下関係が厳しいとは驚きである。