進学塾の講師の本音:塾で出会ったいろんな塾生と親たち

塾に行くだけでは成績は上がらない

私は今年40歳の女性である。

大学2年の時から大学院の修士課程を修了するまで、塾の講師をしていた。そして、博士課程を経て、とある研究機関の研究員として働いてきた。

今の日本では、中学受験を考えているご家庭なら小学3年生くらいから塾通いを始める。

公立の学校に行かれている方でも、中学入学前くらいから塾に通い始めるのではないかと思う。

なぜなら、塾に通わないと、偏差値の高い学校への進学が難しいというのは、例外はもちろんあるが、動かしがたい事実だからである。

でも、ここは声を大にして言いたい。

塾に入れば成績が上がるというわけではない。

塾の宿題をしてこないのはもちろんのこと、塾に来ても寝ていたり、ふざけていたりしていたら、成績は上がるどころか下がる。この当たり前の事実に、そういう塾生の親は分かっていない。

中間試験、期末試験、実力判定試験の度に電話して来て、長期休暇中の講習代をこれだけ払って、塾に週3で休まず行かせているのに成績が上がらない、詐欺じゃないかって言われても困る。

そもそも、今の塾はずる休みができないシステムになっているから、ずる休みができないシステムで非行に走らないだけでも幸せだと思って欲しい。

そんなに言うのなら、しっかり勉強する習慣をつけさせてと言いたい。

成績の良い子でもコイツ嫌な奴と思う時もある

塾にとって、偏差値の良い子は宝だ。

塾の評判をあげるのには、塾生の成績が目に見える形で上がることと、良い学校に合格することが大切である。

だからこそ、今年は〇〇高校に10人合格しましたなどという広告がポスティングされている。

でも、そんな宝であっても、嫌な奴だなと思う塾生もいる。

例えば、先生の卒業大学や在籍大学を聞きたがり、大学名でランキングする。

気持ちは分かるが、授業中の振る舞いも変えてくる。そして、事あるごとに、東大、早稲田、慶応レベルの大学であれば、○○先生は〇〇大学卒業だけあって分かりやすいと言い、それ以外はほぼ一律に、「何でそんな大学に入学したん?そんな大学に入学する意味あんの?」などと聞いてくる。

正直、後者の私は、その塾生が第一志望に落ちて、第二志望どころか、第四志望にしか行けなかったことを知った時、嬉しいとは思わなかったが、可哀想だなとは思わなかった。

塾の先生とは言え、先生だからこれで終わりじゃない、大学受験で頑張ればいいじゃないか、君なら東大狙えるよと言いつつも、内心、それ見たことかと思った。

やはり本当の意味で頭の良い子は、他人に対する振る舞いもまたスマートだ。それができない子は、やはりそれなりのところで落ち着くんだと思う。

兄弟であっても同じではないという現実

私には忘れられない兄弟がいる。

兄はあまり頭が良くないのに、弟は超がつくほど頭が良かった。

両親はともに人がうらやむ専門的な職業についていた。

この二人の遺伝子を引き継いでいれば、どちらも弟のようになってしかるべきなのに、兄は気の毒になる程、できなかった。

正直、上の子ができて下の子ができないパターンよりも、可哀想だなと思いながら見ていた。

そんな彼らの母親と面談をした。

面談は事実や今後のことを話しつつも、基本褒めるのだが、弟のことを話した時の反応と兄のことを話した時の反応が微妙に違った。

知的な夫婦にできる弟、できないけれど弟は兄のことをたてて尊重しているように見えていたけれど、あれは見せかけだと気づかされた瞬間だった。

私は塾の講師だから、成績や学歴が全てではないなんてことは言わない。やはりある程度は求められていると思う。

でも、兄弟であっても頭のできは違うという事実を親が受け入れなければ、子供はつらいだろう。

実際、兄の方は家庭に居場所がなかったのだろう。よく塾の自習室に来ていた。

どんな気持ちで毎日を過ごしていたのだろうか。

子供が二人以上いるご家庭は特に注意してほしい。

長所がゼロの子供はいないだろう。親なら見つけてあげるべきだと思う。

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