出会いは高校の同窓会
僕と彼女の出会いは高校の同窓会だった。
現在僕は30代前半の独身サラリーマン。
その高校の同窓会があったのは今から2年前。
高校を卒業してから10年後に当時の生徒会長がリーダーとなって企画された同窓会だった。
僕は高校3年間同じ学校で付き合っていた彼女がいて、その彼女がかなりのヤキモチ焼きだったこともあって、彼女以外の女性と話をする機会とかほとんどなかった。
現在は当時の彼女とも別れていたので、10年振りの同窓会はかなり新鮮に感じたんだ。
高校卒業してから地方の大学に進学して、就職も地方だったので地元に帰ってくるのは正月くらい。
正月は実家でダラダラ過ごすだけだから同級生のみんなに逢うのはかなり久しぶりだった。
10年も経つと男性はそれほど変わってないけど女性はみんな大人の女性への変貌振りに 正直かなり驚いていた。
その中でも一際目立っていたのが、高校当時から男性陣のアイドルだった女の子。
高校当時以上にさらに綺麗になっていて、男性陣はみんな彼女に釘付けになっていた。
僕は高校時代あまり話しはしたことはなかったんだけど、同窓会でお酒も入っていたこともあって勇気を持って話しかけることにした。
僕は彼女のイメージをクールな女性と勝手に決めつけていたんだけど、話してみるととても明るくて笑顔がかなりステキだった。
それがきっかけで仲良くなって連絡先を交換することに。
そして同窓会から数週間後、彼女から連絡がきた。
その内容は、僕の友人に対しての恋愛相談だった。
親友との恋愛相談
彼女は 僕の高校時代からの親友との恋愛でかなり悩んでいた。
というのも僕の友人は高校時代サッカー部のキャプテンで、スポーツ万能、勉強もできて、しかもかなりのイケメンなので、学年でもかなり目立っていた。
学校に彼のファンクラブがあるぐらいの人気ぶりだった。
高校当時から目立っていた2人だったので、僕の親友と彼女とは「付き合っているんじゃないか!?」とかなり噂はされていた。
高校では付き合うことはなかったけど、高校卒業してから付き合うことになったみたいだ。
彼女の悩みというのは次のような内容だ。
「彼と付き合ってもう5年以上経つんだけど、最初は彼も優しくてデートとか最低でも2週間に1回は会う時間があったんだ。だけど最近は何かと忙しいという理由をつけて、1ヶ月に1回、少ない時には2ヶ月も逢えない時があるんだ。噂では彼よくコンパなどにも行ってるみたいだし、 不安で不安で仕方がない。」
という内容だった。
彼の本当の気持ちを親友の僕から探ってみて欲しいというお願いだった。
僕はそんな面倒なこと普通なら断るが、彼女のお願いということもあって引き受けることにした。
親友の彼とは 高校卒業してから全く逢っていなくて、 同窓会にも参加していなかったので元気にしているのか正直気にはなっていた。
SNSなどでは年に数回やり取りをしていたので、久々に彼と連絡を取ってみることにした。
久々だったのでお互いの近況やくだらない話を数分してから、彼女との状況を確認してみた。
すると、彼から本音を聞くことができた。
彼女と二人で食事
「最近彼女とはどうなの?」という僕の問いかけに対して彼が答えた内容はこうだ。
「彼女のことが嫌になったわけではないけど今は自由な時間が欲しい。正直俺を束縛しないでほしいんだよね。」
俺はその答えを彼女にどう伝えるべきかかなり悩んだ 。色々悩んだ結果、僕はその答えを彼女のためにも正直に伝えることにした。
彼女に伝えるとそれほど落ち込んでいる様子は見せなかった。
落ち込むんじゃないか、泣き出すんじゃないかと心配していた僕は、その反応に正直驚かされた。
その反応にはちゃんと理由があった。数日前に彼から直接そのことを言われたようだ。
でも彼女は彼の事が本当に好きだったので、どうしても別れることができなくてそのままズルズル付き合っている状態だったようだ。
それから数カ月、彼女とは日常の出来事などの何気ないメールのやり取りを続けていた。
彼女に親友のことを伝えてから 2ヶ月が経ったころ、たまたま実家に帰る予定があったので、彼女を励ます意味も込めて一緒に食事でもしようと彼女を誘ってみた。
すると彼女からスグに「OK」という返事をもらい二人で食事をすることになった。
二人きりで会うのは親友への罪悪感もあったけど、彼女のつらい気持ちを知っていたので彼女の友人として何か力になることができたらと思い、 逢って話をすることを決めたんだ。
すると、食事での会話の中で「彼と別れた」という報告を受けた。
恋愛相談から恋に進展
彼女の話によると 僕から彼の報告があった後すぐに彼と別れる事を決めたようだった。
僕はその話を聞いて正直ホッとした。
彼女が悩んでいたことももちろん知っていたし、親友の彼女へのいい加減な気持ちも知っていたからだ。
それから僕たちは頻繁に連絡を取るようになり、週に1回はお互いが連絡を取り合うようになっていた。
実家に帰った時にも必ず二人で食事をするようになった。
その状態が1年ほど続いて僕は彼女に告白する決意をした。
正直僕にとって彼女は高嶺の花だったので あまり自信はなかった。
彼女との関係を続けたいんなら、今の友達の関係を続ける方が良いんじゃないかという思いもあった。
でも、日に日に彼女に対する気持が高まっていたので、どうしてもこの思いを彼女に伝えたかったんだ。
そして、その月も実家に帰り、いつも通り彼女と食事に行った後、歩いて自宅に送る時に思い切って彼女に告白をした。
すると彼女からは何のためらいもなく、すぐに「OK」という返事をもらうことができた。
彼女によると 、前の彼の相談を僕にして 親友をかばうのではなく、正直に彼の気持ちを彼女に伝えてくれたことがとても嬉しくて、そこから僕の事を気にしてくれていたみたいだ。
そこから彼女との恋愛がスタートした。
時間が経つにつれて関わり方に変化が
彼女と付き合い始めて毎日がすごく幸せだった。
遠距離ではあったけど毎日のように連絡を取り、気が付けば毎月実家に帰るようになっていた。
僕が彼女と付き合って一番惹かれたのは 彼女の外見はもちろんだけど、それ以上に彼女が僕に尽くしてくれる彼女の想いに惹かれた。
僕が好きな女優の話しをすれば、その女優のことを自分なりに調べて、その女優が着ている服装や髪型などを真似したり、朝起きるのが苦手と僕が言うと毎朝電話で起こしてくれたりと、何でも僕に尽くしてくれる彼女の姿に僕はどっぷり惹かれていた。
彼女の想いや行動は付き合って1年経っても全く変わることはなかった。
でも…
僕の中で少しずつ何かが変わり始めてきたんだ。
彼女が僕に尽くしてくれている姿をみて「彼女は僕をずっと好きでいてくれる」、「 彼女は僕が何をしても許してくれる」という感情が出てきてしまっていた。
今までは彼女と話をするために毎日電話をして、毎月1回は実家に帰っていたのに「放っておいても彼女は僕の事を好きでいてくれる」という変な自信が出てしまい、不必要に彼女に寂しい思いをさせてしまうことが多くなってしまっていた。
「これでは僕の親友と全く同じことをしている」
「彼女に同じ辛い想いをさせてしまっている」
そう気付いた時には
もう手遅れになっていた。
その人が本当に大切なら「ありがとう」を伝えよう
失ってから気づくものはかなり大きい。
そして二度と取り戻すことができないこともある。その事を絶対忘れてはいけない。
本当に好きならその人のために尽くし続けることが大事だということを、僕は今回彼女との恋愛の中で大きく気付かされた。
僕は今彼女を失ってすごく後悔している。
もちろん僕自身が寂しいという気持ちもあるけど、何よりも彼女に対して僕の親友がつけた心の傷を僕がさらに深く傷つけてしまったという事実に対して深く後悔している。
でももう過ぎ去った時間は二度と取り戻すことはできない。
人生の中で当たり前という言葉はないと思う。
「愛してもらっていることに感謝」
「今一緒にこうしていられることに感謝」
身近な人だからこそ感謝の気持ちを大切にしなければならない。
そしてそれは必ず言葉に出さなければ相手には伝わらない。
以心伝心なんて目に見えないものを信用してはいけない。
「ありがとうという」感謝の言葉。
「ごめんね」という謝罪の言葉。
こういう一つ一つの言葉を相手に伝えることが一番大事なんだと思う。
今恋愛をしている人、そしてこれから恋愛を始める人にこれだけは伝えたい。
後悔してからでは遅い。受ける愛よりも与える愛を優先しよう。
そしてその愛を与え続けることができたら必ず人は幸せになれます。