近年、ニュースでもたびたび取り上げられる幼い子供が関わる事件、事故。我が家にも幼稚園に通う5歳と3歳の二人の子どもがいるので他人事ではありません。
私たち夫婦は少し(と本人たちは思っていますが。)心配性なので、我が子の安全に関わることはとてもシビアです。
外出するときは必ず親同伴。家の玄関から一歩出たら、親から見えないところに行くことは許しません。物騒なこのご時世、何があるか分かりませんから。
いや、もしかしたら昔と今ではそう変わりはないかもしれません。ただニュースで取り上げられる機会や、過保護な大人が増えただけで、昔も子供を取り巻く安全は常に危険が付きまとっていたのかもしれません。
そう、きっと私達夫婦は過保護な大人です。でもはたから過保護と呼ばれようと我が子の安全は守りたいというのが本心です。
私たちの住む住宅街には、私たち夫婦より一回り上の世代の親御さんたちが多く暮らしています。
世代の違いなのでしょうか?古きよき昭和の時代に外を駆けずり回っていた幼い記憶と経験を持ってしてか、子供に対して自由奔放な親御さんたちが目立ちます。
辺り一面住宅街で顔見知りも多く、とても平和な街ではあるのですが、そこら中に幼稚園児とおぼしき幼い子供が一人歩きをしているのです。
各々に自転車を乗り回している子供もいれば、全速力で走った勢いで車道を渡る子供。はたまた車道でボール遊びやキックボードで鬼ごっこをしている子供。
私達は3年前に引っ越してきたのですが、越してきた最初にその光景を目にしたときは本当に驚いて我が目を疑いました。
それから我が子が幼稚園に通うようになり、近所にもお友達ができたのですが、ある日の夕方、突然幼稚園のお友達が我が家に遊びに来たのです。
ピンポンとインターホンが鳴り応答してみると、そこに映るのは、いや、正確に言うと頭がかすかに映るか映らないかという背丈の子供が二人立っていたのです。
まさかと思い玄関まで行くとやはり子供だけが二人「遊びに来た」と立っているのでした。追い返すわけにもいかず家に招き入れたのですがはたしてどうしたものか。私は彼らの親御さんと面識はあれど連絡先なども知らなかったのです。
「二人だけで来たの?お母さんは?ちゃんと言ってから来たの?」と3歳と4歳に尋ねるも「うん!」と信じていいのやらあやしい返事。私が考えあぐねていると再びインターホンが鳴り、ようやく親御さんがあとを追いかけて来たのでした。
「すみません。勝手に来ちゃって。止めても聞かなくて本当に困る子なんです。」と。あぁそうか親御さんも手を焼いているのか。とちょっと安心したのも束の間、「帰り送っていきますね。」という私に「いや、それはいいです。勝手に帰らせてください。」と。
え!?そんな途中で何かあったらどうするの!?と思うもそんなことも言えず「分かりました。」というしかありませんでした。
帰る約束の時間が来て、やっぱり不安になった私は二人を送り届けようと我が子と外に出ました。ところが先に走っていってしまい、1歳児を抱きかかえていた私は追い付くことができずあっという間にいなくなってしまいました。
それからというもの、頻繁に遊びにくるようになったお友達。初めの数ヶ月はとても葛藤しました。それぞれの家庭で色んな考え方があるだろうし、みんな違って当たり前。だけれども本当にいいのだろうか。なんとか親御さんに伝える方法はないのだろうか。
そして困ったことに我が子が「なんで僕は駄目なの?」と言い出したのです。「お友達は遊びに行っていいのに、僕は行ってはいけないの?」と。さらに夫まで「友達が来てくれるなんて良いことじゃないか。」とまるで子供の安全は二の次のようなことを言い、なぜか我が家がギクシャクしてしまうという展開に。
結局、「よそはよそ、うちはうち」ということに落ち着いたのですが、このことは家族で改めて安全を考える機会になりました。
我が家で決めたルールは、「小学生になるまで一人で遊びに行ってはいけない。」「お友達と遊ぶときは我が家に来てもらうのはいいけれど、お友達の家には行ってはいけない。(子供だけで公園に出掛けたり、その家庭のルールで遊ぶことに不安があるため。)」ということです。我が子も納得してくれ、ほっと一安心しました。
ところが近頃、気になるニュースを目にしました。「子供の事故率は小学校一年生がピーク」であると。さらに「特に男の子に多い」ことが統計的に書かれていました。
予想はできていましたが、統計的にデータとして出るとドキッとしました。小学生など小さい子供は注意力が散漫なこと。特に小学校一年生は外歩きに慣れておらず、またその機会が登下校などで増えることが要因だと書かれていました。
我が子は本当に他の子と比べても注意力が散漫です。何か楽しいこと、気になることがあると周りが見えなくなり、大人の注意が聞けなくなります。また何度言っても繰り返すことも多いです。
このことで実は思い当たることがありました。私たち夫婦は、特に一人目の長男は神経質に育てました。子供が危険な目に合わぬよう事前に回避し、「危ないからだめよ!」と繰り返してきました。
おかげでこれまで大きな怪我もなく過ごしてきましたが、果たしてこれが良かったのでしょうか?
もちろん大きな怪我や事件、事故に会わなかったことは喜ばしいことです。でも自分で体験から学ぶことの方が大きかったりします。
前述の我が子のお友達たち。実はとても運動神経がいいのです。そして最初のころは危なっかしくて見てられなかった外歩きも、今では上手に自然な動きで道路を歩き、そして渡るのです。
一度我が子に道路の向かいのお宅に回覧板を渡しに行ってもらったことがあります。
私と一緒に何度も何度も渡った道路。
「車来てない?」といつも繰り返し渡った道路なのですが、やはりいつもは大人に委ねていたのでしょう。一人で渡るときのぎこちなさと言ったら。
運動にしてもそうです。私が「危ないよ!」を繰り返してきたせいで危ないことを想像する能力が発達してしまったのか、怖がりで難しい遊具に挑戦したりできなくなってしまいました。
「いずれ大丈夫になるよ。」とみんな言ってくれるのですが、果たしてどうなのか。
先日の幼稚園の先生との会話でもこんなことを言われました。「大人が何度繰り返して言っても身に付かない。それよりも自分で考えてやったことがもたらした結果を体験した方が何倍もインパクトがある。」と。
確かにその通りだなと思いました。
しかし、他のことならまだしも、子供の安全に関することは難しいです。そう簡単に痛い目に合わせるわけにはいきません。
変わらず、我が家では「小学生になるまで一人で遊びに行ってはいけない。」「お友達と遊ぶときは我が家に来てもらうのはいいけれど、お友達の家には行ってはいけない。」は守っていこうと思いますが、少しばかり変革が必要かもしれません。
と言ってもとても難しく、具体的にどのようにしていけばよいかまだ考えている途中ですが、いずれにしろ一歩先に進み、「親が守る」から「自分で自分を守る」ことができるようにしなければなりません。
まだ全てがそういうわけには行きませんが、実際小学一年生になる日はもう目の前です。ひいては自立に繋がる問題なだけに、親として真剣に考えなければなりません。